[恒星物理学] 恒星内部での力学平衡

恒星の観測によって、有効(表面)温度()、光度(luminosity: )、表面元素組成などの情報が得られます。しかし、恒星内部に関する情報は得られません(例外的に太陽の場合は、ニュートリノフラックスおよび太陽振動の観測により内部の情報が得られています)。恒星の内部構造を知るためには、物理法則を使って理論的な構造モデルを計算する必要があります。恒星の内部構造を決定する重要な要素は、力学平衡、エネルギーの流れ、エネルギー保存、ガスの状態方程式、元素組成分布などがあります。最初にこの章では恒星内部での力学的平衡を考察していきましょう。

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[恒星大気の物理学] 理論的大気モデル計算法の概要

恒星の理論的な大気モデルは静水圧平衡と放射平衡の関係を、吸収散乱係数の温度・密度・波長依存性、ガスの状態方程式などを使って解くことによって得られます。あるの組み合わせに対する恒星大気モデルを計算する際、最初にEddington近似によって温度分布を与えます。その温度分布に対し、静水圧平衡の式が解かれ、吸収係数等が計算されます。それらを使ってradiative transferの式が解かれます。このようにして得られた放射場は、必ずしも放射平衡の条件式(*)を満たしていません。そのため、放射平衡を満たすように温度分布に補正を加え、新たに決めた温度分布に対して再び上の計算を繰り返すというiterationによって、静水圧平衡と放射平衡の大気モデルを得ることができます。効率の良い計算をするためには、radiative transferの式の効率がよく正確な解放を使うことと、より適切な温度分布補正を与えることが重要です。そのために種々の方法が考え出されています。ここでは最も簡単な(しかし必ずしも有効ではない)温度分布補正の方法について概説します。

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[恒星大気の物理学] 基本方程式、静水圧平衡

恒星大気のモデルとは、大気内部の密度・圧力・温度などの物理量の分布と、表面から出てくる放射スペクトルを与えるものです。ここでは最も簡単なplane-parallelで静水圧平衡かつ放射平衡にあるLTEの大気モデルの計算方法と、その結果について見ていきましょう。

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