[恒星物理学] 完全に縮退した状態の電子ガス

縮退の効果を考察するために、ここでは完全に縮退した電子ガスの性質を考えてみましょう。電子の縮退の(*2)式において完全に縮退した状態は

のように表されます(上の状態が、粒子の運動量分布が温度に全く依存しないことから縮退(degenerate)した状態と呼ばれています)。フェルミエネルギーをと定義し、の時の運動量(フェルミモーメント)をと書きます。電子ガスに対する一般の状態式の(*2)式は完全に縮退した状態に対して

…(*1)

のように書けます。ここで、無次元化したフェルミモーメント

のように定義すると(*1)式は

…(*2)

のように変形されます(中性子に対してはBの値はです)。で相対論的効果が重要になりますので、上の式は完全に縮退した状態では、密度がよりも高くなると相対論的効果が大きくなることを示しています。

完全に縮退した電子の分圧は電子ガスに対する一般の状態式(*3)式より

…(*3)

のように表されます。ここで

のように与えられます(とも書けます)。は(*2)式より密度で決まる量なので、完全に縮退した状態では圧力は密度だけで決まり、温度には無関係となります。そのため、縮退した状態で核融合による熱の発生が起こると、温度に圧力の変化がなく、膨張による冷却が働かないために熱的暴走(フラッシュ)が起こります。

完全に縮退した電子ガスの単位体積あたりの内部エネルギーは電子ガスに対する一般の状態式の(*4)式状態式の一般論の(#)式より

…(*4)

のように表されます。ここで

のように定義されます。

非相対論的極限()と相対論的極限()でのf(x)とg(x)の振る舞いは

のように表されます。これらの式と(*2)式の関係から、

の関係が得られます。

また(*3)式と(*4)式より

と書けますので、この関係をと書くと、の値は

と表され、完全に縮退したガスでは、非相対論的極限ではとなり、単原子分知のときと同じ値となります。相対論的極限ではとなり、光子ガスと同じ値になることがわかります。

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