[恒星物理学] ガスの元素組成と平均分子量

主系列星とヘリウム燃焼が始まる前の赤色巨星を構成するガスは、水素とヘリウムとわずかな量の”金属(or 重元素)”(天文では、ヘリウムよりも重い原子を金属または重元素と呼びます)から成ります。そのガスの組成を表すのに、X=水素質量比、Y=ヘリウムの質量比、およびZ=金属(ヘリウムよりも重い元素)の質量比を使うことが多いです。このように定義されたX, Y, Zは全てが独立ではなく、

という関係があります。

平均分子量はあガス粒子一個あたりの質量を原子質量単位で表したもので、完全電離している場合

と表現されます(は1質量数に対する粒子数を表します)。ここに、はそれぞれ原子核iの原子番号、質量数、および質量含有量を表します。また、上式では重元素に対してという近似が使われています。また、イオンと電子の寄与を分けて

イオン平均分子量、電子平均分子量を定義すると、平均分子量は

…(*1)

と表されます。理想気体ガス圧のイオンの分圧は単原子分子理想気体の(#)式内のに置き換えることによって得られ、電子の分圧はに置き換えることによって得られます。

太陽のような比較的表面温度の低い星の表面近くでは、水素・ヘリウムは電離していません。不完全電離の場合、ガスの粒子数は温度と密度の関数になるので、平均分子量も温度と密度の関数となり(は不変)複雑です。今、水素とヘリウムの電離度を

と記したとき

…(*2)

と表されます。ここでは重元素の寄与は無視されています(多くの場合、重元素量は数%以下であり、水素とヘリウムの不完全電離領域では重元素の電離の程度は小さいので、このような近似が用いられることが多くあります)。原子の電離度はSahaの式を使って求めることができます。

不完全電離状態のガスに対して、平均分子量を(*1)と(*2)式から求め、理想気体と輻射とからなるガスの(*1)式に使うと圧力が得られます。しかし、内部エネルギーに対しては電離エネルギーを考慮する必要があります。水素、中性ヘリウム、の電離エネルギーをそれぞれ、と書くと、単位体積あたりのガス内部エネルギーは

のように表されます。輻射を含めた内部エネルギー密度は

と表されます。不完全電離状態のガスの比熱は温度と密度によって変化します。不完全電離状態のガスでは、与えられた熱が電離にも使われるため、比熱は完全電離状態における値よりも大きくなります。

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