[恒星物理学] 脈動変光星

恒星は進化の途中で、何回かその外層が不安定になり、振動を起こす段階を経験します。外層の振動(脈動)により、表面温度が変化し、星の硬度が周期的に変化します。これらは脈動変光星(pulsating variable stars)と言われています。また、外層の脈動に伴うドップラー効果によって、スペクトル線の波長(またはスペクトル線輪郭)が周期的に変化する現象が観測されます。

脈動変光星には様々なタイプのものが存在し、周期も1年以上のものから、数分足らずのものまであります。また、ただ一つの周期で脈動しているものと、同時に複数の周期の脈動が励起されているものとがあります。後者の場合、脈動神父にうなり現象が観測されます。恒星の脈動の観測によって、恒星の内部構造に対する有益な情報が得られます。恒星の脈動は多くの場合、振幅が大きくないので恒星の構造と進化に影響をほとんど及ぼしません。しかし、例外もあります。その一つは、AGB星が最終段階位に起こす脈動で、ミラ型脈動と言われるものです。これは非常に大きな振幅をもつため、この型の脈動はAGB星からの大きな質量放出を引き起こし、それがAGB星の寿命を決めています。

このような脈動変光星は、その変光周期、進化段階によってグループ分けされており、HR図上それぞれ固まった領域に存在します。脈動の周期は大雑把に言って、半径が大きい星ほど長くなります。短いものは白色矮星の100秒程度。長いものではミラ型星の数年になるものもあり、非常に広い範囲を持ちます。上の表は脈動変光星のグループの代表的な例についてそれらの特性を表したものです。ミラ、半規則型は赤色超巨星の脈動によるもので、周期が非常に長いです。セファイド型とRRライリ型変光星はヘリウム燃焼段階にある脈動星で、距離の決定に利用されることが多いです。β Cepheid stars, SPB(slowly pulsating B) stars, δ Sct, γ Dor, roAp星(rapidly oscillating Ap: 高速振動するA型特異星)は主系列星の脈動変光星です。sdBV(subdwarf B variables)はヘリウム燃焼段階にある星ですが、質量放出によって外層が非常に薄くなっているため、半径が小さく高温の表面温度をもつ星です。sdBV星は最近(1990年代後半)になって発見された脈動変光星のグループです。DAV, DBV, DOVは白色矮星の脈動変光星グループです。太陽の5分振動は、外層の対流運動によって起こされた振動であり、非常にたくさんの固有振動の重ね合わせです。太陽振動の正確な振動数の観測により、太陽内部の構造を推測することができます(Helioseismology: 日震学)。また、最近では他の星でも太陽型の振動が観測され始めています。

星の脈動には、大きく分けて球対称的な動径脈動(radial pulsations)と非球対称的な非動径脈動(nonradial pulsationsまたはnonradial oscillations: 非動径振動)とがあります。大雑把に言って、主にセファイド型星、ミラ型星などの巨星、超巨星では動径脈動が起こり、主系列星、白色矮星などでは非動径脈動も現れてきます(白色矮星では動径脈動は確認されていません)。

動径脈動の周期は自由落下時間程度なので、星の平均密度の平方根に比例します。この関係は、周期ー平均密度の関係と言われます。この関係により、主系列脈動星よりも巨星の脈動星の周期が長いことが理解できます。しかし、この関係に従わない場合もあります。例えば、白色矮星の自由落下時間は数秒であるのに対し、白色矮星の脈動の周期は100~1000秒です。これは白色矮星の脈動が、長周期のg-モード非動径脈動であるためです。

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