[恒星物理学] ヘリウム燃焼段階

中心付近の水素がヘリウムに全て変えられてしまうと、水素からヘリウムへの核融合反応はヘリウム角を包む殻で起きるようになります。このような構造を持つ星は、中心が重力収縮すると、ヘリウム核の周りの水素燃焼が活発になるので外層は膨張します。すると主系列を離れ、巨星へと進化してゆきます。ほとんどヘリウムからなる中心核は重力収縮をし、中心温度が1億度程度になると、3個のヘリウム原子核が1個の炭素原子核となるトリプル-アルファ反応が起こり始めます。そのエネルギー発生により中心核の収縮が止まり、ヘリウム燃焼段階となります。この段階では、トリプル-アルファ反応によってできた炭素がヘリウムと融合して酸素が作られる反応も同時に起こります。したがって、ヘリウム燃焼段階が終わった段階で、炭素と酸素からなる中心核が残ります。

の大質量星では、主系列段階を終わった時の中心温度が高いので、あまり重力収縮しなくてもトリプルアルファ反応が起こる温度になります。そのため、赤色巨星になる前にヘリウム燃焼段階になります。それよりも質量の小さい恒星では赤色巨星になった後でヘリウム燃焼段階が始まります。大中質量星はヘリウム燃焼段階で、HR図上で横に伸びるループを描きます。このループは質量が大きいほど長く発達します。それがよりも高温領域に伸びると、セファイド不安定帯を横切ります。そこでは星の外層が脈動をして、セファイド型脈動変光星(周期: 数日~百日)となります。そのため、このループはセファイドループとも呼ばれています。セファイド型変光星には周期高度関係があり、系外銀河間での距離の評価に利用されます。

星の質量がよりも小さい場合、中心密度が十分大きいため、重力収縮で中心温度が1億度になる前に電子が縮退した状態になります。そうなると、中心温度はヘリウム中心核質量だけで決まり、水素燃焼殻の働きによりヘリウム中心核の質量が増加するにつれて温度が上昇していきます。その質量が約となると中心付近の温度が1億度に達し、トリプルアルファ反応が起こりエネルギーが発生し始めます。電子が縮退している状態では圧力が密度だけに依存して、温度には依存しなくなるので、エネルギーが発生して温度が上がっても圧力が上昇しない状態になります。このような状態では、核融合反応が暴走し、電子の縮退がなくなるまで温度が上昇し、構造が急激に変化してヘリウム燃焼段階の構造に落ち着きます。このような現象をヘリウムフラッシュと呼びます。ヘリウムフラッシュを起こすような小質量星のヘリウム燃焼段階HR図上の位置は、重元素含有量によって大きく変わります。種族Iでは赤色巨星枝にほとんどくっついた場所でヘリウム燃焼段階を過ごします。それに対して、種族IIの星はガスの不透明度(opacity)のもとになる重元素(ヘリウムよりも重い元素)が少ないため、ヘリウム燃焼段階での星の表面温度が高く、水平分枝(horizontal branch)星となります。この名の由来は球状星団のHR図上でこれらの星が水平に並ぶことから来ています。この段階でHR図上の位置は重元素量とともに外層の質量によっても大きく変わります。球状星団の水平分枝が長く伸びているのは、個々の星の外層の質量が少しずつ異なっているためです。その違いは、それまでの進化で放出した質量が個々の星の自転速度、磁場等によって微妙に変わるためと考えられています。

水平分枝が十分長いとセファイド不安定帯を横切ります。そこで水平分枝星は周期が約0.5日のRRライリ型脈動変光星となります。この星は、球状星団までの距離の評価に重要な働きをします。

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