[恒星物理学] 主系列星とその進化

前主系列段階での重力収縮で、中心温度が約1千万度まで上昇すると、水素からヘリウムが合成される核融合反応によるエネルギー生成率が、星の表面からのエネルギー放出率と釣り合うようになります。このエネルギーの釣り合いにより重力収縮が止まり、恒星は主系列星段階に入ります。この段階をZAMS(Zero-Age Main-Sequence)と呼びます。しかし、質量がよりも小さい星は核融合によるエネルギー発生率が十分大きくないので、重力収縮を止めるまでに至ることができません。このような星は褐色矮星(brown dwarf)と呼ばれます。

主系列星はHR図上、左上から右下に伸びる帯(主系列)上に存在します。連星系を恒星する主系列星に対しては質量が求めらるので、質量と半径、および質量とluminosityの関係が求められます。下の図はそのようにして得られた質量-半径(黒丸)と質量-luminosity(白丸)関係を表しています。

主系列星のluminosityは質量によって大きく変化しますが、半径はあまり変わりません。それらの関係は

のように表されます。この関係を使うと、平均密度はと表され、質量の大きい主系列星ほど平均密度が小さいことがわかります。

主系列星の寿命はに比例し、なので、質量の大きい主系列星ほど短くなります。この性質は星団の年齢の決定に利用されます。下の図はプレアデス星団、ヒアデス星団、NGC188星団のHR図を並べたものです。最も明るい主系列星の明るさがこの順に暗くなっており、右側の星団ほど昔に生まれた星団であることがわかります。

比較的小質量の主系列星は単にdwarf(矮星)と呼ばれることもあります。また種族(population)IIの主系列星はsub dwarfと呼ばれます。この名は、HR図上で重元素量が少ない場合の主系列が種族Iの主系列の下に位置することからきています。この関係は、星団の主系列を基準のものと合わせることによって星団までの距離を評価する際に考慮されなくてはなりません(種族IIの星は、我々の銀河形成初期に形成された古い星で、重元素含有量が太陽に比べて少ないのが特徴です。一方、種族Iの星は銀河内の星間ガスの重元素含有量が太陽程度になって以後生まれた星で、銀河円盤内に存在します)。

水素からヘリウムが合成される核融合には、主に小質量星で起こるpp-chain反応と大中質量星で起こっているCNOサイクルとがあります。pp-chainh反応によるエネルギー発生率の温度依存性は4乗程度で比較的弱いため、中心部の比較的広がった領域でエネルギーの発生が起こっています。それに対し、CNOサイクルでヘリウムの合成が起こる倍位は、エネルギー発生率の温度依存性は15乗程度と強いため、エネルギーの発生は中心付近の狭い領域に限られています。この違いは、中心付近の構造に現れます。大中質量星の中心領域は対流が起きて、その対流領域で元素組成が均一になるように混ぜられています。

小質量星では、中心部が輻射平衡でガスが動かないのに対し、外層部では対流田起きています。これはガスの不透明度が温度が下がるにつれて大きくなり、輻射に夜エネルギー輸送の効率が下がるためです。太陽の対流外層の厚さは半径の30%程度で、質量にして2%程度である。その厚さは質量が小さくなるにつれて増加し、程度より小質量の星では星全体が対流平衡になっており、常にかき混ぜられています。しかし、このような小質量星の寿命は非常に長いので、我々の銀河ができたすぐに形成されたとしても元素組成はさほど変化しないものと想像されています。太陽では対流外層でのダイナモ効果によって磁場の時間変化が起こり、黒点が発生し、solar cycleがあることが知られています。太陽よりも表面温度の低い星では、磁場の活動がより活発で、巨大な黒点が存在し、それが時点で見え隠れすることによる変光を示す星も知られており、また、巨大なフレア現象を起こして増光する星は、フレア星も存在することが知られています。一般に小質量星の自転速度は遅いとされています。これには磁場による角運動量の放出が一因であると考えらえれています。

外層が輻射平衡となっている大中質量主系列星は一般に速い自転速度(100~200km/s; 自転周期は1~2日)を持っています(自転速度はドップラー効果によるスペクトル線の広がりから評価できます)。特にB型で速く、高速自転の効果で赤道付近からガスが飛び散って、星周ガスとなるために、スペクトルに輝線が見られるBe星も存在します。また、高速自転星の内部ではゆっくりとした還流(meridional circulation)が発生することが理論的に予測され、ある程度星の内部が混合されることが予想されています。しかし、この現象を定量的に扱える理論はまだ固まっていません。また進化に伴う内部での角運動量分布の変化の取り扱いも難問です。

有効温度が1万度程度のA型星には、非常に強い磁場(300G-35kG, G=1Tesla: 地磁気G)をもち、金属吸収線の卓越したA型特異性(Ap星; A型星の約10%)が存在します。強い磁場は化石(fossil)磁場だと考えられています。なぜA型星の一部に磁場が残るのかの説明はまだできていません。これらの星は遅い自転速度(<100km/s)を持ちますが、これは強い磁場の働きによるブレーキングが大きな役割を果たしていると考えれられています。また、表面の得意な元素組成は、遅い自転と強い磁場の生で大気が非常に安定した状態になっているため、輻射を多く吸収する金属が光子から運動量をもらって浮き上がってきたものと説明されています。また、A型星には遅い自転速度で金属線の卓越したスペクトルを持ちますが、磁場が観測されないA型金属線星(Am星; A型星の30%)が存在します。これらの星は、近接連星を構成しているので、潮汐作用によって失ったと考えられています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Captcha loading...