[恒星物理学] 重力収縮による恒星内部温度の変化

次に重力収縮による恒星内部の温度変化をhomologous contractionの近似を使って考察してみましょう。静水圧平衡の式(*)を作用させると

…(1)

が得られます。ここでドットは時間微分(例えば)を表します。次にが恒星内部の場所によらず一定である(中心からの距離が同じ比率で変化する)というhomologous contractionの仮定

を導入します。そうすると(1)式は積分できて

が得られます。境界条件として、星の表面でであるからです。すると上式は

となります。この式はも場所に依存しない量であることを示しています。

次に球対称の場合の力学方程式(**)で微分して

を得ます。これにhomologous contractionの仮定を使いましょう。すると

となります。従って

となり、も場所に依存しない量であることがわかります(比例係数3は、3次元的膨張収縮では長さの3乗で体積が変化することに対応しています)。

温度の関数で表せるので

と書くことができます。さらに熱力学から

であることを使うと

と表すことができます。この式は、恒星が重力収縮(または膨張)で半径が変化した時に起こる内部温度の変化を表しています。

理想気体の場合、ですからとなり

となるので、重力収縮によって星の内部温度が上昇することがわかります。

密度がある程度大きくなると、電子が縮退を始めます。縮退した電子ガスでは電子の圧力がイオンの圧力に比べて大きいので

となります。ここではガスは非相対論的に縮退していると仮定しました(、さらに状態数はに比例するのでとなることから、となることが理解できます。相対論的縮退の場合はとなるので、となります)。また、温度依存性は理想気体で近似できるイオン圧から来るものなので、

と表せます。従って

となります。上式は重力収縮によって密度が十分に大きくなり、電子の縮退が強くなると、重力収縮によって温度が逆に減少し始めることを示しています。このことは、恒星が重力収縮することによって到達することのできる最高温度が存在することを意味しています。密度が大きくないときは、ガスはほぼ理想気体として振る舞い、恒星の内部温度は

と表されるので、ある密度に対する温度は質量が大きいほど高くなります。よって、は質量が大きいほど高い値を持ちます。質量が十分小さくでも中心で水素からヘリウムへの核融合反応によるエネルギーの発生が十分でない場合は、主系列星になることができません。このような星は褐色矮星(brown dwarfs)と呼ばれます。

縮退が強くなると温度が下がるのは、内部エネルギーの増加がフェルミエネルギーの増加に使われるためであると理解することができます。完全に縮退した状態では、圧力は密度だけの関数となるので、星の質量と半径が一対一の関係になります。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Captcha loading...