[恒星物理学] 重力収縮

核融合反応によるエネルギーの供給がない場合、恒星は光を発することによりエネルギーを失います。Luminosity(恒星から単位時間当たりに放出されるエネルギー)をと書くと

…(1)

という関係が成り立ちます。上式から、核融合反応によるエネルギー供給がない場合、恒星が光を発することにより内部エネルギーが増大し、重力エネルギーが減少する(星が収縮する)ことがわかります。理想気体ではなので、エネルギーを失うことによって温度が上昇します。このことは、恒星が”負の比熱”を持っているというように表現することもできます。

恒星の重力エネルギーの(*)式を使うと、の時間微分は近似的に

と書けますので、(1)式に代入すると

となります。内部温度が低く、核融合反応が起きないような状態では、恒星は収縮をしなくてはならないことを上式は示しています。重力収縮によって重力エネルギーが減少し、解放されたエネルギーの一部が内部エネルギーの増加に使われ、残りが星の表面まで運ばれて、星の光として放出されるというエネルギー収支になっています。

重力収縮のタイムスケールは次のように見積もることができます。

ここで太陽のluminosityはです。このタイムスケールをケルビン・ヘルムホルツタイムスケールと呼びます。上式からわかるように、重力収縮のタイムスケールは力学的タイムスケールに比べて非常に長いです。このことは、重力収縮では静水圧平衡が非常に良い近似で成り立っていることを意味します。

一方、水素からヘリウムへの核融合反応によるエネルギー発生が起こっている主系列星段階の寿命は、水素からヘリウムへの核融合反応によって約0.7%の質量がエネルギーに変わり、星全体の約10%の水素がヘリウムに変えられるまで主系列段階が続くということから、

のように評価できます。したがって、恒星の重力収縮のタイムスケールは主系列段階の進化のタイムスケールのおよそ100分の1であることがわかります。

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