[恒星物理学] 力学的タイムスケール

球対称の運動方程式(*)式の右辺の第二項の重力がまさっている場合、この星は潰れます。そのタイムスケールは(*)式から

のように表されます。これは自由落下のタイムスケール(free-fall timescale)と呼ばれています。ここで、はそれぞれ星の半径と質量を表し、は平均密度を表しています。

一方(*)式の右辺第一項の圧力勾配による力がまさっている場合、この星は膨張します。そのタイムスケールは同様に(*)式より

のように表されます。ここでは音速を表します。このタイムスケールは音波が恒星の内部を通過する時間程度であることを表しています。

状態が静水圧平衡に近い場合を力学的タイムスケール(dynamical timescale)と呼びます。脈動星では(*)式の右辺のバランスが周期的にずれて収縮と膨張を繰り返すので、その周期は力学的タイムスケール程度です。太陽の半径と質量から太陽の平均密度を計算すると

となり、水の密度とあまり変わらない値となっています。この値から、太陽の力学的タイムスケールを計算すると30分程度となります。静水圧平衡の(#)式の形からわかるように、平均密度の小さい星ほど力学的タイムスケールは長くなります。の赤色巨星では、20日程度になります。このように力学的バランスが崩れた場合、短い時間で元に戻るので、非常に長いタイムスケールで構造の変化が起こる恒星内部では、常に静水圧平衡が保たれていると考えて良い近似となります(脈動星の場合、外層が不安定になっているために振動を続けます)。

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