[恒星大気の物理学] Natural Damping Profile, 量子力学的考察

古典力学の次は量子力学。

原子またはイオンからの放射に対する量子力学的解釈は、ある励起状態から下のエネルギー状態への遷移と理解されています。この放射のプロセスは、WeisskoptとWignerによって1930年に量子力学的に記述されました。励起状態 から、それよりエネルギーの低い状態 への遷移確率が

のように表すことができるとすると、イオンが状態 となっている確率は、状態の波動関数を用いて

のように表すことができます。ここで、はspontaneous emissionのEinstein係数に等しいものです()。この式は、状態の波動関数の時間発展が

…(1)

のようになることを示しています。ここで、です。(1)式は状態 のエネルギーが程度の幅を持つことを表しています。状態 の寿命は遷移確率の逆数程度なので

のように書くことができ、量子力学の不確定性原理と一致します。このことは、放射される光の振動数に幅があることを表しています。振幅スペクトル(に対する振幅の分布)は(1)式のフーリエ変換であり、エネルギースペクトルはその絶対値の2乗です。

(1)式は、古典的な振動子の(*)式と同じ形をしており、得られるエネルギースペクトルはLorentz型

となります。上のエネルギー状態からの遷移は一般には状態 への遷移以外にも存在し、下のレベル も種々の遷移によって幅を持つので、はそれらの総和

と考えるべきです。

このようにして求められた線輪郭は輝線に対するものになりますが、定常状態では吸収と発酵が釣り合っていなくてはならないという条件()から吸収線も同じ形を持つことがわかります。吸収線に対する原子一個あたりの吸収係数に変換するには遷移確率で導入したoscillator strength を使って

…(*)

と表されます。吸収線全体の吸収は

となります。Radiation dampingは密度の非常に薄い場所で形成される強い吸収線で重要となりますが、通常の恒星大気の環境ではpressure broadeningが重要な影響を持ちます。

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