[恒星大気の物理学] Balmer jump

Eddington-Barbier relationから、星の表面でのフラックスは近似的にでのPlanck関数を反映しています。Bound-free吸収のlimitの短波長側で吸収係数が不連続的に大きくなっているので、短波長側では長波長側に比べて温度の低い外側からの光が来ていることになります。その結果としてスペクトルに急激に光の強さが変化するjumpが形成されるのです。水素原子のbound-free吸収端によって紫外域にn=1からの電離に対応するLyman jump(λ=912Å)、可視光域にn=2からの電離によるBalmer jumb(λ=3647Å)、n=3からの電離によるPaschen jump(λ=8205Å)などが形成されます。

Balmer jumpの大きさ

は星の有効温度によって系統的に変化します。逆にの観測値から、星の有効温度を決定することができ、とても有用です。

F型星、G型星の場合は特に長波長側でイオンの吸収が大きいので、Balmer jumpの大きさは長波長側のイオンの吸収係数と、短波長側のn=2からのbound-free吸収端の吸収係数との比

によって決まります。ここで、αはイオンまたは原子一個あたりの吸収係数を表します。Negative hydrogen ionの数と中性水素原子の数の比はSahaの式によって求まりますが、この比は温度だけでなく、電子数密度の関数でもあります。そのため、F, G型星のような低温の星に対しては、Balmer jumpの大きさからだけでは温度を一意に決めることはできません。

有効温度は9000Kよりも高い星では、イオンの吸収は無視できるほど小さいので、Balmer jumpの大きさは、長波長側の水素原子のからのbound-free吸収(Paschen continuum)と、短波長側の水素原子のn=2からのbound-free吸収端の吸収係数の比

によって決まります。は温度を与えれば、Boltzmannの関係式から求まります。したがって、上の吸収係数の比は温度だけの関数であり、Balmer jumpの観測から、温度を求めることができることがわかります。温度Tが小さいほど、この比は大きくなります。つまりBalmer jumpは温度が低いほど大きいのです。

Eddington-Barbier relationは星の表面から出てくるfluxはの場所のPlanck関数に比例することを表しているので、星の大気がgrayであったとしたら、星の連続スペクトルはでの温度、すなわち有効温度に対する黒体放射のスペクトルであるはずですが、実際には連続吸収係数も光の波長に対して大きく変化するので、黒体放射からずれています。特に、B, A, F型星では、Balmer jumpのために紫外領域で低い温度のPlanck関数の大きさを反映して暗くなっているため、下図に示されている2色図での黒体放射の関係から大きくずれていることがわかります。Balmer jump(λ=3647Å)よりも波長の短い領域で、エネルギーの放出が妨げられ、Uバンドで暗くなっています。そのため、U-Bが赤くなります。Uバンドで、エネルギーの流れが妨げられた分、Bバンド領域でのエネルギーの放出が大きくなり、B-Vの色は少し青くなります。

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