[恒星大気の物理学] 理論的大気モデル計算法の概要

恒星の理論的な大気モデルは静水圧平衡と放射平衡の関係を、吸収散乱係数の温度・密度・波長依存性、ガスの状態方程式などを使って解くことによって得られます。あるの組み合わせに対する恒星大気モデルを計算する際、最初にEddington近似によって温度分布を与えます。その温度分布に対し、静水圧平衡の式が解かれ、吸収係数等が計算されます。それらを使ってradiative transferの式が解かれます。このようにして得られた放射場は、必ずしも放射平衡の条件式(*)を満たしていません。そのため、放射平衡を満たすように温度分布に補正を加え、新たに決めた温度分布に対して再び上の計算を繰り返すというiterationによって、静水圧平衡と放射平衡の大気モデルを得ることができます。効率の良い計算をするためには、radiative transferの式の効率がよく正確な解放を使うことと、より適切な温度分布補正を与えることが重要です。そのために種々の方法が考え出されています。ここでは最も簡単な(しかし必ずしも有効ではない)温度分布補正の方法について概説します。

温度補正

仮定した温度分布に対してradiative transferの式を解いて放射場を求めたとき、radiative equilibriumの条件式(*)を満たしていなかったので、温度分布にという補正を加えて(*)式を満たすようにすることを考える。そのは以下のようにして求めることができます。これをLambda-iteration procedureと呼びます。

としたときに放射平衡の式(*)が満たされるようにしたいので

を満たすようにを決めれば良いのです。について解くと

が得られます。上の式の分子の(in LTE)で得られている既知のmean intensityなので、この式からが求まります。しかしこの条件式はに対して非線形の関係なので、iterationが必要になります。

この方法は簡単ではありますが、種々の弱点を持っています。その一つは、大気の深いところでは温度分布の正確さに関わらずとなるので、self-consistentな放射場であるかどうかに関わらずとなってしまいます。またある場所ので与えられ、他の場所の温度の影響を受けているにも関わらず、上の式ではradiative equilibriumからのずれを、全てその場所の温度補正に押し付けているため、正確なが求められないという問題もあります。これらの問題から、実際にはより込み入った補正方法が採用されています。

 

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