[恒星大気の物理学] 優勢な散乱によって生じる問題

光の散乱の存在により、放射の特性と個々の場所の熱的特性とが無関係になり、radiative transferの式を解くことが非常に難しくなります。Radiative transferの解は放射平衡のページの(3)式で与えられ、さらに散乱がない場合はPlanck関数を積分することにより得られます。しかし、の場合はこの式は積分方程式となり、解くことが難しくなります。ここでは散乱が起こす重要な効果を簡単な場合について考えてみましょう。

Planck functionの場所に対する変化が、optical depthの線形関数

…(1)

で表されるとし

で定義されているは場所によらない定数であるとします。

を使って書くと

…(2)

となります。またradiative transferの式

をかけて全立体角で積分して

…(3)

を得ます。ここでEddington近似を使って(2)式と(3)式からを消去すると

が得られます。は(1)式のように与えられると仮定しているので、です。したがって上式は

のようにも書くことができます。この式の一般解は物理数学から

で与えられます。ここでは積分定数です。境界条件はなので、でなければなりません。したがって

が得られます。この式からとなるのはおよそのときです。が小さいとき、すなわち散乱の効果が大きいとき、optical depthがかなり深くまで、mean intensityからずれることがわかります。この深さのスケールはthermalization depthと言われるものです。これはこのように理解できます。

一度の散乱で光子が吸収される確率はなので、光子が吸収されるまでにその光子は回の散乱を受けます。その間のランダムウォークによって移動する距離は(平均自由行程)です。平均自由行程はの距離であるので、thermalzation depthはとなります。

表面温度の非常に高い星の外装では、電子散乱の効果が優勢であるため、程度になっていると考えられています。このような場合にはの深い領域までに近くなりません。

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