[恒星大気の物理学] 基本方程式、静水圧平衡

恒星大気のモデルとは、大気内部の密度・圧力・温度などの物理量の分布と、表面から出てくる放射スペクトルを与えるものです。ここでは最も簡単なplane-parallelで静水圧平衡かつ放射平衡にあるLTEの大気モデルの計算方法と、その結果について見ていきましょう。

Plane-parallelの構造では、静水圧平衡の式は

で表されます。ここで、は重力加速度で、大気内部では場所によらずに一定であると仮定します。この仮定は大気の厚さが星の半径に比べて小さい時に使える、plane-parallelの仮定と整合性を持ちます。

Optical depth

を独立変数にすると、静水圧平衡の式は

のようになります。が場所の関数なので、この式は解析的には解くことができません。しかし、独立変数に表面からその層までに含まれる質量

を独立変数とすると、静水圧平衡の式は

…(1)

のように積分でき、圧力に比例することがわかります。

放射圧はの関係にあるので、radiative transferの式にをかけて全立体角で積分した式

で独立変数をからに変えると

が得られます。(1)式で圧力をガス圧と放射圧にわけてと書くと

と表すことができます。この式は放射圧勾配が重力を’弱める’働きをすることを示しています。

静水圧平衡の式をある基準の波長に対するoptica depth: の関数として解き、大気の構造を得るためには、温度分布を与えるかまたは温度分布を決める式を静水圧平衡の式と同時に解く必要があります。太陽の場合、周縁減光(limb darkening)の種々の波長での観測値と式

を組み合わせることによって得られます。なので、吸収係数が大きい波長の観測を使うとより外側の温度分布がわかり、逆に吸収係数の小さい波長を使うとより深い場所の温度分布を決定することができます。

点光源としてしか観測できない他の恒星の場合は、周縁減光が観測できないので、上の方法で温度分布を決めることができません。このため、次に紹介する放射平衡の式を使って理論的に温度分布を計算する必要があります。ただ、精密さを要求されない場合(例えば恒星内部の構造に対する境界条件として使用する場合)には近似的な方法として、太陽の関係をスケールして

として得られる温度分布を使うこともできます。

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