[恒星大気の物理学] 遷移確率

古典的に求めてから、量子力学的に補正をします。

3つのEinstein係数の間にはEinstein relationがあるので、一つの係数がわかれば他の係数を知ることが出来ます。ここでは古典的な概念を使って、を導出しましょう。

電磁波が作る電場の素で、イオンに束縛された電子の振動を考えます。運動方程式は

これはレイリー散乱のところで勉強した形の方程式なので、それをそのまま使いましょう。すると散乱断面積は上記リンク先のpdf(10)式より、として

と書けます。これを振動数で積分すると

より、これは規格化されていることがわかります。これをLorentz profile (or damping profile)と呼びます。

以上より

となります。このような古典的な取扱では、原子の特徴や遷移するエネルギーレベルに全く依存しない形になります。

量子力学的考察から得られる断面積はこのような形になりません。しかし、慣習上、レベル と の間の遷移の断面積は

のように表現します。ここではこの遷移の振動子強度(oscillator strength or f-value)と呼ばれるものです。は一般に1よりも小さな値で、非常に強い吸収線に対してだけ1に近い値を持ちます。散乱断面積とEinstein係数

の関係にあります。これは左辺が毎秒散乱or吸収されるエネルギー、右辺が毎秒電子が遷移することにより吸収されるエネルギーです。これでが求まりました。

次にOscillator strengthの計算は量子力学に基づいて行われます。水素原子のoscillator strengthは、Kramersが主量子数の遷移に対して半古典的に導出した式

を用いて

のように表されます。ここではGaunt factorと呼ばれる1のオーダーの値を持つ補正因子です。

Oscillaator strengthの例、バルマー系列: ではではではなどです。nが大きくなるほど散乱断面積が小さくなります。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Captcha loading...