[恒星大気の物理学] Bound-Bound遷移に対するEinstein係数

基本的な例を考えましょう。

最初に2つのレベル間で起こるbound-bound吸収について考察します。下のレベルを, 上のレベルをとし、それぞれの状態の統計的重率をとします。またそれぞれのレベルにある原子の数密度をそれぞれとします。

Intensity の光を吸収して、レベル からレベル に遷移が起こる速さ(確率)は

…(1)

のように書くことが出来ます。ここではEinstein係数の一つです。は微小立体角を表します。この過程によるエネルギー吸収率は

…(2)

ここではこの過程による単位質量あたりの吸収係数です。また吸収される光の振動数には2つのレベルのエネルギー差から

…(3)

という関係があります。

上のレベルから下のレベルへの遷移には2つの過程が考えられます。一つは自然発生的に起こる自発遷移(spontaneous transition)です。その遷移確率をEinstein係数の一つで表すと、自発放射(spontaneous emission)による、単位立体角あたりのエネルギー放出率は

…(4)

となります。もう一つのプロセスはinduced emission(誘導放射 or stimulated emission)で、遷移によって出る光と同じエネルギーを持つ光に存在に誘発されて起こるものです。その遷移率は同じ振動数の入射光のintensity に比例するので、そのエネルギー放出率は

…(5)

のように書かれます。誘導放射で放出された光の角度依存性は入射光と全く同じであるのに対して、自発放射は等方的に起こります。

熱平衡状態ではかつ、の間にはBoltzmann関係

が成り立っています。*は熱平衡状態での量をであることを表すために付けています。

平衡状態では上下の遷移が釣り合っていなくてはならないので、(2), (4), (5)式より

となります。これをについて解いて、Boltzmann関係を使うと

…(6)

一方、Planck関数は

…(7)

なので、(6), (7)式を比較すれば

を得ます。これらの関係式をEinstein relationsと呼びます。途中で熱平衡を仮定して導出しましたが、この関係式は原子の性質間の関係なので、熱平衡であるかどうかに関わらず成り立つ関係です。

 

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